ひと昔前、1975年~1980年頃の日本人は殆どの人が「中流意識」を持っていました。

家庭の経済状況に関係なく、「自分は人並みの生活をしている」と感じていたのです。

あの頃からおおよそ40年が経過しました。

世の中も変わって今の社会は格差社会と名付けられるようになりました。

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貧困問題が勃発

老いも若きも男の女も、全て日本人が程度の差はあっても自分自身の行く末を不安に感じています。

ですが『新・日本の階級社会(講談社現代新書)』を読んでみると、この問題はもうちょっと根深いようです。

我が国は「格差社会」ではなくて「階級社会」になってしまったようです。

『新・日本の階級社会』は、階級・階層を研究している社会学者の研究グループがリサーチして取得したデータと2016年首都圏調査データを使用して、我が国の階級社会化を分析して包み隠さず公表しています。

『新・日本の階級社会』を手にすれば、日本国民の社会的な階層ごとの経済的な状況が全て理解できるといっても決して言い過ぎではありません。

例えば女性の場合では、結婚するかしないかでステータスは大きく変わってしまいます。

というわけで、サラリーマンの奥さん、社長の奥さん、非正規雇用の未婚の女性など、17グループに分類して格差構造を分析しています。

『新・日本の階級社会』を手にした人は誰もが思わずうなってしまうでしょう。

新たな階層「アンダークラス」

著者の橋本健二さんは我が国がどういった階級社会に陥ってしまったのか伝えるために、労働に従事している人達を4つの階級に分類しています。

資本家階級

5人以上の社員を雇っている社長、あるいは役員が資本家階級に該当します。

平均年収は604万円です。

30人以上の社員がいる企業に限定すれば861万円になります。

新中間階級

新中間階級は管理職など、業務に関するハイレベルな専門性を身につけている人達の事です。

資本主義が強化されるにしたがって、労働者階級から派生した階層の為、このような呼び方になりました。

労働者階級

ごく普通のサラリーマンの階層です。

正規労働者に限定すると、平均年収は370万円です。

旧労働者階級

旧労働者階級は主として自営業者の事を意味します。

資本主義の前から存在していた人達です。

自ら仕事を得ながら、労働者と同じ様に仕事をする面もあるので、このような名称がつけられました。

上記で述べた4つの階級自体は、1975年頃から存在していました。

問題になるのは格差が拡大するにしたがって、労働者階級が分裂してしまった事です。

早い話、非正規労働者が増えてしまったんです。

当然のことながら非正規労働者の人口は年を経るごとに増加しています。

あるデータを分析したところ非正規労働者の人口はおおむね15%、929万人もいるみたいです。

搾取され続けている非正規労働者の平均年収は186万円です。

労働者階級の数字を大幅に下回っています。

著者の橋本健二さんは労働者階級の下に出来た今までなかった層を「アンダークラス」と呼んでいます。

今現在の日本社会は4階級から5階級社会に変貌したと指摘しています。

日本に蔓延する「自己責任論」

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『新・日本の階級社会』では、アンダークラスの人達が抱えている深刻な現実、時代が進んでいくにしたがって格差が生まれだした「中流意識」の変化等に関して解説しています。

注目点は他にもあります。

2015年に行われた調査では「チャンスが公平に与えられるのであれば、競争によって貧富の差がついたとしてもやむを得ない」という考えに対して賛否を問いかける設問があります。

その結果は次の通りです。

まず、大部分の人がこの考え方に肯定的です。

そして貧困層の40%以上の人も同様の意見です。

更に、この調査では「将来、日本で格差が拡大しても問題ない」という考えについて問いかける設問もあります。

この質問に対して肯定的な意見の人はどの層も過半数に達していません。

下層階級になればなる程比率が下がっています。

ですが2005年のデータと比較してみると、トータルで肯定的な意見が増えています。

以上の事から「自分の経済的な状況は自らが招いた結果」という、よく言う「自己責任論」が日本に蔓延しつつある事を著者の橋本健二さんは指摘しています。

『新・日本の階級社会』を読み終えた人は間違いなくこの事実にショックを受けるでしょう。

徐々に、貧富の差が大きくなることは仕方がないという考えが当たり前になってきています。

この事はぜったいに阻止しなくてはいけません。

『新・日本の階級社会』では階級社会を是正するための提言を述べています。

社会的に影響力を持っている資本家階級や新中間階級の人達は、是非とも自身の言動を再確認してください。

今後も正しい経済活動をしてください。

格差問題に対して意見を言うのは難しくありません。

ところが具体的な現状を理解していないと、正当な意見、根拠のある意見を述べることはできません。

格差にたいして腹を立てる前に、貧富の差を自己責任と決めつけてしまう前に、さしあたって何らかの方法で日本社会の現状を理解して、そのあと自分自身の意見を語るべきです。

世論こそが社会を大きく変える力になるので、私達一人一人が現代の社会をきちんと注視して意見を持って、社会とか政治に反映できるように徐々に声を上げていくべきです。

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