写真は「Forbes」から引用

6月26日、東海大学海洋研究所と静岡県立大学のグループが、リューグーノツカイやサケガシラ等、深海魚の出現が地震が発生する前兆だという説を否定しました。

この事を受けて、メディアも一斉に深海魚と地震の関係性を「迷信」と明言する報道を行いました。

ですが、これはどうかなと思っています。

しばらくして、アメリカカリフォルニアでマグニチュード7.1の地震が発生した際に、発生する直前にリューグーノツカイが打ち上げられました。

長い間、地震の前兆現象を調査してきた私からしたら納得がいかない研究結果ですので、何処が問題なのかを指摘させて頂きます。

深海魚は地震の前兆というのは迷信ではない!

わが国では、江戸時代から「深海魚が現れると地震が発生する」という言い伝えが常識になっていました。

とりわけリューグーノツカイは地震との繋がりが強いと警戒されてきました。

そのような中で、東海大学海洋研究所と静岡県立大学のグループは、リューグーノツカイ等、地震の前兆と考えられている8種類の魚類に関して調査を行いました。

1928年11月~2011年3月の間に確認された実例の中から336例をピックアップしました。

深海魚を発見してから30日後迄に、半径100km以内が震源になったマグニチュード6以上の地震を調査したら、あてはまる地震は、2007年7月に発生した新潟中越沖地震だけだったようです。

そういう事情から、昔からの言い伝えは迷信だと結論付けました。

今回の研究結果は6月18日付けのアメリカ地震学会誌に掲載されました。

調査を担当した東海大学海洋研究所の織原義明先生は「言い伝えが真実なら防災に役立つと考えましたが、そんな事はありませんでした。

信じている地方もありますが、地震の予測に効果があるとは言えません」と語っています。

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データ抽出方法に間違いは無かったのか?

写真は「getty images」から引用

私は長期に亘って、地震の前兆を研究して来ましたが、その中でも動物が地震が発生する前に見せる異常行動に関しては特に時間を費やしてきました。

そうした立場から東海大学等の研究を見てみると、疑問を感じる部分があります。

とりわけ、データを抽出する際の条件設定に問題がなかったのかについては疑問を払拭できないでいます。

とりあえず、東海大学等の研究は地震の大きさを「マグニチュード6以上」に限定しているようですが、私が過去に前兆の可能性が高いと結論づけた事例のほとんどは、マグニチュード6以下でした。

マグニチュード4くらいのケースもありました。

次に、深海魚を発見してから地震が発生する迄の期間を「30日以内」としていますが、この事にも納得がいきません。

なぜならば、一般的に大地震の前兆として発生する宏観異常現象の中で、動物の異常行動は、マグニチュード7を超えるような大地震の場合、数ヶ月前から前兆現象として現れる事が多いからです。

写真は「getty images」から引用

又、「半径100km以内が震源」という条件設定も疑問が残ります。

私は過去の研究から、マグニチュード7.5~8を超えるような超大型地震の場合は、数百Kmの距離であっても前兆現象が生じる可能性があると考えています。

研究の結果、日本海での深海魚の出没は地震と結びつかないケースが圧倒的に多い事が判明しました。

特に冬は、その傾向が強いです。

多分海水温の低下、もしくは海流が変化したためだと思われます。

昨年秋から今年の春にかけて、兵庫や富山の日本海でリューグーノツカイがしばしば見つかった際にも、必ずしも地震に結びつくとは限らないと考えていました。

現実問題、あてはまる地震は発生しませんでした。

仮に、東海大学がこうした傾向に気づかないで、やみくもにふんだんに集めたデータをリサーチしていたとしたら、深海魚の生態を正確に理解していたのか疑問に感じるところです。

研究者の見解

こういった深海魚と地震の関係性については、実際のところ国内のたくさんの研究者が必死に研究してきました。

「お魚博士」として知られている魚類学者の末広恭雄先生(1904~1988)が有名です。

1963年11月11日から数日の間、伊豆新島・大島近海で群発地震(最大M4.7)が発生しました。

末広恭雄先生は地震が発生する2日前の朝、新島で全長6メートルのリューグーノツカイが捕獲された事がきっかけになって研究を重ねました。

その結果、地震が発生する前に深海魚が見せる行動を一心不乱に研究すれば地震の予知に役立つはずだと確信しました。

又、地震予知の研究で有名な地球物理学者の力武常次(つねじ)先生(1921~2004)も、著書『予知と前兆』の中で、魚類の前兆例を数え切れないほど挙げています。

1968年8月6日に豊後水道でマグニチュード6.6、最大震度5の地震が発生する4ヶ月前に愛媛県八幡浜でリューグーノツカイが獲れたという報告を紹介して、「地震が発生する前に、深海魚が予兆を感じて生息場所を離れた可能性もある」と書いています。

更に、生体電位と地震前兆学の国際権威である東京女子大学の鳥山英雄名誉教授は、2011年12月21日に静岡県牧之原市の静波海岸にリューグーノツカイが座礁した時、どうして打ち上げられたのかと聞かれて、「多分、プレートが動いて歪みが出来た事が原因で起きた、電気反応によるものと思います。

【中略】

リューグーノツカイはその電気にショック反応を起こして、今回打ち上げられたと思います」と説明しました。

その11日後になる2012年1月1日、鳥島近海でマグニチュード7、最大震度4の地震が発生しました。

震源から370kmも距離があるために、東海大学などの統計データでは除外されているようです。

しかし、私は自分で収集したデータを検証してみたのですが、この大きさの地震であれば可能性があると考えられます。

マグニチュード7.1の地震には前兆と予言があった

皮肉な事に、東海大学などによる研究が発表された後も、リューグーノツカイは各地で発見されています。

その事に呼応するように地震が発生しています。

7月5日にアメリカカリフォルニア州南部でマグニチュード6.4とマグニチュード7.1の地震が立て続けに発生しました。

その3週間前にカリフォルニア湾内でリューグーノツカイが捕獲されました。

震源から約600kmという距離を問題視している人もいるようです。

しかし、私の過去の研究から言えば、マグニチュード7を越す大きさであれば500km~600km離れていても全く問題はありません。

本年度5月23日にペルー北部のマンゴラでリューグーノツカイが捕獲された際には、3日後にペルーでマグニチュード8の超大型地震が発生しました。

この時も震源から約600kmの距離でした。

実際のところ、この地震を予言していた人物がカナダにいらっしゃいます。

フランキー・マクドナルドさん(35)です。

フランキー・マクドナルドさんは自閉症で自称アマチュア気象予報士です。

世界でも有名なユーチューバーと言う立場でもあります。

日頃は世界各地で発生するハリケーンとか冬の嵐をユーチューブで予報しています。

早口の英語で、切実な表情でまくし立てながら、地震予知を行う事もあります。

2016年10月21日、マクドナルドさんはニュージーランドでマグニチュード7以上の地震が発生すると予言しました。

約3週間後の11月14日にニュージーランドで実際にマグニチュード7.8の地震が発生して、世界中に彼の名前を轟かせました。

他にも、2017年1月23日にチリでマグニチュード7を越す地震が発生すると予言しました。

そうしたところ3ヶ月後の4月24日にチリでマグニチュード6.9の地震が発生しました。

又、マクドナルドさんは2018年12月29日に公開された動画で、「2019年に、カリフォルニア州のサンアンドレアス断層で大型地震が発生して、ロサンゼルス、サンフランシスコ、サクラメント、オークランド、サンノゼを襲うでしょう。

電線や木々をぶっ壊して、建築物、路地、橋等にダメージを及ぼします。

食料品の供給や輸送する手段が絶たれてしまう危険性がある」と予言していました。

7月5日に地震が発生した際には、現実問題、建築物の全半壊、道路の地割れ等の被害が出てしまった事を考えると、彼の予言が当たったと言っても間違いないでしょう。

迷信だという思い込みがもたらす事態とは!?

2009年4月6日にイタリアで300人以上の方が亡くなったラクイア地震が発生した際には、「数日前の群発地震は大地震には結び付かない」と明言した国家委員会の研究者達が、死者の拡大に繋がったとして罪に問われました。

日本ではさすがに裁判沙汰にはならないでしょう。

しかし、東海大学などの研究結果を鵜のみにして、一般の人達が「リューグーノツカイや魚類の前兆現象なんて迷信だ」と信じこんでしまったら、どのような影響を及ぼすのでしょうか?

以前、ある漁港では、リューグーノツカイが揚がったら大型地震が発生する前兆の可能性もあるので報告するようにと漁師達に伝えていたようです。

ですが、いつの間にやら「深海魚は大型地震が発生する前兆ではない」という話が“常識”になってしまいました。

深海魚の打ち上げを目にしても誰も深刻に考えなくなりました。

そのために大型地震や津波の犠牲者が増えるのであれば、果たして誰が責任を取るのでしょうか?

地震みたいに人命に関わる事は、そこらへんを肝に銘じてキッチリと研究にあたってもらいたいものです。

最近インタビューを行った国内の水研究の権威・久保田昌治さんは、「森羅万象の中で、現代の科学で明白になっていない事の方が圧倒的に多い」と公言しています。

東海大学のように現在の科学でわからないからといって、“迷信”と断定するのは、暴論と言ってもよいでしょう。

私達地球に居住している人間は、地下とか海底で何が起きているかを正確にわからないままに生きています。

「わからない事はわからない」と言えば良いのですが、徹底的に研究する事もなく地震の前兆現象など“無い”と断言してしまうなど許されるはずがありません。

カリフォルニア「Big One」はこれから!?

実際の所、USGS(アメリカ地質調査所)の研究者の話では、地震をひき起こした断層システムが成長している事もあって、今回のマグニチュード7.1の地震で終わりではないようです。

今後「Big One」、要するにさらに大きな地震が発生する可能性があるそうです。

アメリカの有名な地震学者、ルーシー・ジョーンズ博士は、ロサンゼルス・タイムズの取材に、「マグニチュード7級の地震が更に生じるパーセンテージは11%」と指摘しています。

今回の震源はラスベガスの西150km位の地点で、サンアンドレアス断層に沿った砂漠地帯だと考えられています。

何人かの有識者が断層の活動が活発になる事を心配しています。

マグニチュード7クラスの地震が起きた後は、余震が数年続く事もあります。

3.11や熊本地震で私達が経験したように、マグニチュード6クラスの地震が起きても、更に大きな地震が控えている可能性がある事は絶えず頭に入れておかなければならないでしょう。

因みに、マクドナルドさんは6月5日に公開したユーチューブ動画で、2020年9月にカリフォルニアで大型地震が発生する可能性があると注意喚起しています。

東海大学などの研究に戻りますが、ある事象を完璧に「迷信」と断定するのは、だれにも反証する事が出来ない証拠を示した場合にのみ許される事じゃないでしょうか?

日本を代表する物理学者、寺田寅彦さん(1878~1935)は、地震の研究においても評価が高い人物でした。

彼は次にあげるような言葉を遺しています。

「『生物の事は物理でわからぬ』という経典的信条のせいで、このような研究が常に異端視されるのは誠に遺憾です。

科学の進歩を妨げているのは素人の無理解ではありません。

いつでも科学者の科学そのものの使命と本質への認識の不足です」

今回のような統計調査を行う際にも、対象が動物であるからには、深海魚の生態等を入念に研究してから行うべきでしょう。

いみじくも地震の研究が本分の科学者であれば、広範囲に亘る分野の情報を総合して「どんな方法で人命を救い出すか」に最大限注力するべきです。

結果的に犠牲者を増やしてしまう事があってはならないのです。

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